パニック障害の方への接し方

ご家族が「パニック障害かな?」と思ったら・・・

パニック障害は、家族の理解が必要な病気です。
なんの前触れもなく、突然息切れや呼吸困難、動悸、めまいなどの発作が起こります。何度も繰り返されるため、最初は内科や循環器科、呼吸器科などにかかることが多いようですが、検査をしても身体には異常がないため、そのまま放置してしまうことがあります。
パニック障害を治療しないでいると長期化するだけでなく、うつ病を併発して重症化することがしばしばあります。

パニック障害は投薬だけでなく、家族の方のサポートも回復のために非常に重要になります。家族の方もパニック障害についてよく知り、患者さんが安心して治療に専念できるようにしてあげてください。
症状が重いときは、外出することができなくなることがあります。無理に病院へ連れて行こうとはせず、家族の方からの相談も受け付けているメンタルクリニック(心療内科・精神科・神経科)を訪れてみることをおすすめします。
⇒家族受診の利用

パニック障害の患者さんにしてあげて欲しいこと

一緒に治療に取り組んであげてください

パニック障害は、家族の理解と協力がなければ症状が長引いてしまう病気です。患者さんが「自分は一人きりだ」と常に不安にさいなまされていたら、症状は悪化しやすくなります。
病院への付き添いはもちろん、発作が起こった時にはそばにいてあげるなど、家族の方が患者さんの苦しみを共有し、一緒に病気と闘うようにしてあげてください。

<普通>に接してあげてください

パニック障害だからといって、腫れものに触るような特別扱いをする必要はありません。
不安の原因を取り除くようにしてあげること、安心させてあげることの他は、以前通りに接してあげるようにしてください。

安心させてあげてください

パニック障害は、不安障害ともいいます。患者さんは、何かのきっかけでまた苦しい発作が起こってしまうのではないかという不安に、常にさらされています。
発作が起こりそうなときや、発作が起こっている時に家族の方にそばにいてもらったり、背中をさすってあげたり、「大丈夫だよ」と声をかけてもらうだけで、患者さんは安心して症状が落ち着くことがあります。
特別なことは必要ありません。ただそばにいてあげるだけで良いのです。

発作が起きたら、落ち着いて対応してあげてください

パニック障害の発作中の患者さんは「死んだ方がまし」「地獄の苦しみ」など、大変な恐怖や苦痛を感じており、その苦しみ方にそばで見ている家族の方も焦ったり慌てたりしてしまいがちです。
しかし、周りの方が大声を出したり慌てて騒いだりしてしまうと、患者さんはますます不安になって症状が強くなってしまいます。家族の方は慌てずに優しく声をかけたり、手を握ったり、楽な姿勢にさせてあげるなどして患者さんを落ち着かせてあげましょう。
普段から、患者さんが持っていると安心するものや、かけてあげると落ち着く言葉などを聞いておくようにすると良いでしょう。

外出の際には付き添ってあげてください

パニック障害の患者さんは、発作が起きることが怖くて外出を避けるようになることがあります(予期不安といいます)。電車やバスなどの閉鎖された空間(逃げたくても逃げられない、何かあっても誰も助けに来てくれないところ)が発作のきっかけとなることもあり、症状が重いときは、一人で外出することができなくなってしまうこともあります(広場恐怖といいます)。
自分に何かあったときに対処してくれる人(家族)が一緒であれば、患者さんの不安は和らぎます。通院はもちろん、患者さんが外出をする際はなるべく付き添ってあげるようにしてください。

うつ病の併発に注意してあげてください

パニック障害患者さんの多くが、うつ病を併発すると言われています。常に発作の不安を感じ、強いストレスを感じ続けているのですから、うつ病を発症しても無理はないものと考えてあげてください。
うつ病を併発すると、重症化すると言われています。うつ病の症状が少しでも見られたら、通っているメンタルクリニックに相談することをすすめてあげてください。または、一緒に通院して、先生に相談してください。患者さんの前で言いづらければ、別に時間を取ってくれる場合があります。

パニック障害の患者さんにしてはいけないこと

ネガティブなことは言わないであげてください

パニック障害の患者さんにとって、不安になるようなことを言ったりしたりされることが最も良くありません。パニック障害に苦しんでいる患者さんに、「それは甘えだ」とか、「たいしたことではない」など、という否定的な言葉は禁物です。また、「薬ばかり飲んでいると体によくない」など、治療に対して不信を持ってしまうようなことも言わないように注意してください。

無理に外へ連れ出さないでください

パニック障害の患者さんは、突然発作が起きるかもしれない恐怖や、特定の場所へ行くことで発作を起こしてしまうかもしれないという不安から、外出ができなくなることがあります。外出できない患者さんを無理に外へ連れ出すことは、気分転換どころか逆に症状悪化の原因となりかねません。
「慣れれば平気になる」ということはありません。また、「一度外へ出てしまえば怖くないことがわかる」というものでもありませんので、本人が外へ出たいと思えるようになるまで、長い目で見守ってあげてください。

受診をすすめるときには・・・

発作への不安のために、通院のための外出を拒否されるかもしれませんが、受診を勧めるときには、以下のポイントを押さえて説明すると良いでしょう。

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