受診の手引き

うつ病・パニック障害は、病院に行って治す「病気」です

うつ病・パニック障害は長い間「心の病気」と思われて来ましたが、現在では、「神経伝達物質不足が原因の脳の病気」ということが分かってきています。
しかし、治療を受けているのはたった5人に1人程度にすぎないと言われています。うつ病・パニック障害であるという病識を持っていない患者さんが多いということもありますが、「心の病気」のために病院へ行くことに抵抗を感じている方も少なくないようです。

うつ病やパニック障害は、あなたの心が弱いせいでなるのではありません。病院で適切な治療を受けることで回復が望める「病気」であることを理解し、おかしいな?と思ったら、ためらわずに病院へ行くことをおすすめします。

メンタルクリニック(心療内科・精神科・神経科)へ行こう

うつ病・パニック障害の治療には、メンタルクリニックへ行くことをおすすめします。

『メンタルクリニックとは、こころ(脳)の乱れから心身の不調が現れた場合に、その治療をするところです。』
板橋区のメンタルクリニックいたばし 様 HPより引用

診療科目ではありませんが、心療内科・神経科・精神科の分野の総称と考えてください。「精神科」や「診療内科」には抵抗を感じても、「メンタルクリニック」だと通いやすいのではないでしょうか?

ほとんどのメンタルクリニックは心療内科・神経科・精神科のうち複数を標榜していますが、「心療内科」のドクターは内科医、「神経科・精神科」のドクターは精神科医であるという違いがあります。心身症など、精神的な原因による身体的な症状が強く出ている場合は、まず心療内科の受診をすすめられることがあります。

最初は、<悩み相談>のつもりでOK

いざ通院となっても、「治療に行く」とかたく考える必要はありません。「絶対に治る」と信じることは必要ですが、「治さなければならない」と思い詰めることは逆効果です。
まずは「相談」のつもりで気軽に通い、リラックスしてご自分の症状や悩みをドクターに伝えると良いでしょう。

メンタルクリニック(心療内科・精神科・神経科)に対する誤解

インターネットの普及により、メンタルクリニックに関する情報が比較的簡単に手に入るようになりましたが、中には誤解に基づいた情報もしばしばみられます。ドクターとの相性や、処方された薬が合う合わないによって

カウンセリングをしてくれない

しばしば混同されますが、メンタルクリニックの治療とカウンセリングは異なるものです。

メンタルクリニック(心療内科・精神科・神経科)のドクターは内科医または精神科医で、医学的な根拠に基づいて身体または脳の病気の「治療」をおこなったり「助言」したりしますが、個々の心理状態に沿った深い相談を受ける「カウンセリング」はおこないません。
逆に臨床心理士に代表されるカウンセラーは、薬の処方などの医療行為をおこなうことはできません。

うつ病やパニック障害の治療をサポートするために必要だとドクターが判断すれば、治療法のひとつとしてカウンセリングをすすめられることがあります。
患者さん自身が必要だと感じれば、カウンセリングを受けたいとドクターに希望を伝えると良いでしょう。
また、ほとんどのケースでは保険が適用されませんので、受ける前にドクターから詳しく説明を受けるようにしましょう。

薬漬けにされる

うつ病もパニック障害も、残念ながら、例えばインフルエンザのように原因がある程度はっきりとしているわけではありませんので、「頭が痛い方には頭痛薬」「発熱している方には解熱剤」というように、症状にぴったりあった薬をいきなり処方することが難しい病気です。
症状や原因は患者さんごとに千差万別で、同じ薬、同じ治療法でも、合う合わないがあります。Aさんに効果があったaという薬が、Bさんにも同じように効果があるとは限りません。a薬を処方して効果がなければb薬を、b薬でも効果がなければc薬を・・・と、薬を切り替えることが多くなると、「効かない薬をいつまでも飲まされている」と不安になってしまうことがあるようです。

また、中途半端に治療をやめてしまうとかなりの確率で再発や症状の悪化を招きますので、症状の回復に応じて薬効の弱い薬に少しずつ切り替えて行く必要があります。そのため「良くなっているのに薬をやめさせてくれない」と感じてしまうかもしれません。

疑問や不満を感じながら治療を受け続けることは、かえって治療を長引かせることになります。服用している薬に不安がある方、投薬以外での治療を希望される方は、ご自分の判断で薬をやめずに担当のドクターに相談するようにしましょう。

保険を使うと職場にバレる

保険を使うと、健康保険組合から医療費の明細が送られてくるため、メンタルクリニックで保険を使うと健康保険組合から職場にバレてしまうのでは?と不安を感じていらっしゃる方が多いようです。

保険を使うことで職場に通院がバレることはありません。
健康保険組合が通院の内容を職場に知らせることはありませんし、医療費の明細は個人情報ですので、加入者である患者さん自身が開封するようになっていて、職場で開封することはありません。

安心して保険で通院してください。

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